
ダイヤモンドのiPad検索でTrecentiのジュエリー販売を促進
顧客との商談の期間は短縮され、成約率が向上
概要
- お客様: 日本でカスタムメイドの宝石を販売するTrecenti
- 挑戦: 顧客が選んだダイヤモンドの在庫確認のために販売員が繰り返し本社に電話しなければならない。
- 解決策: iPadを使って顧客と販売員にリアルタイムのリングフレームとルースダイヤの在庫検索を行う。
- 主な効果: 既存のLANSAベースのシステムを活用して、極めて短期に顧客サービスと効率を向上。売上が顕著に増加。
- 使用製品: Visual LANSA
この事例は、日本のiMagazine(www.imagazine.co.jp)の2011年5月号の記事を編集したものです。
Trecentiは、日本の13店舗で品質の良い宝石類、主に婚約や結婚の指輪を販売しています。この会社は、ダイヤモンド商品を開発、製造、販売する輸入業者であるオリエンタルダイヤモンドの子会社です。2007年に、オリエンタルダイヤモンドの100%の株主であった住友商事は、オリエンタルダイヤの事業をニッセンに譲渡し、その結果Trecentiはニッセングループのメンバーになりました。
Trecentiの主力製品は、ダイヤモンドの婚約指輪と結婚指輪です。顧客の多様な希望を満たすために、Trecentiは、既製リングから、顧客自身の選択した1つまたは複数のルースダイヤモンド(裸石)とリングフレームを組み合わせるオーダー・メイド・デザインに及ぶ広い品揃えを用意しています。
挑戦

過去に顧客は、店舗のサンプルやカタログからリングとダイヤモンドを選んでいました。販売スタッフは、顧客がそれらを選択した後に、店舗の奥の事務所へ行ってTrecenti本社の製品部門に電話をして、顧客が選択したリングとダイヤの在庫が有るかどうか、もし無ければ予定受渡日をチェックする必要がありました。受渡日が顧客の都合と合わなければ、販売スタッフは、顧客に別の選択肢を薦めて、同じプロセスを繰り返す必要がありました。多くの顧客は週末に店舗を訪問するので、Trecenti本社の製品部門スタッフは、週末も勤務する必要がありました。
Trecentiのビジネス・モデルはカスタム・メイドのジュエリーに移っていて、この変化をサポートするために、やり方を改善する必要がありました。これをサポートするためのシステム導入が何回か議論されましたが、何も決定されていませんでした。2010年夏にオリエンタルダイヤモンドのビジネス情報システムマネージャーの南氏が、Trecentiを訪問し、システム開発の管理について協議し、カスタム・メイドのジュエリー販売をサポートするためのシステムについての議論を再開しました。
販売スタッフは、店舗の奥の事務所へ行って在庫を確認する必要があった
LANSAで開発したWebシステムをiPadのSafariブラウザでそのまま利用
南氏は特に、LANSAを使って開発されたオリエンタルダイヤモンドのルースダイヤモンドのWebシステムに注目しました。Trecentiの基幹のビジネスシステムがWindows上で稼働する一方で、オリエンタルダイヤモンドは、1995年からLANSAを使って多くのビジネスシステムを開発している長期のIBM iユーザーです。
オリエンタルダイヤモンドのルースダイヤモンドWebシステムは、 バイヤーがルースダイヤモンドを、リアルタイムに在庫を検索して選択した在庫を確保する、インターネットベースのアプリケーションです 。400を超えるダイヤの供給業者が接続するシステムは、2008年に稼働しました。システムは、XML/XSLを使ったWebアプリケーションのためのLANSAのコンポーネントベースのテクノロジー、Webアプリケーションモジュール(WAM)を使って、開発されました。より良い画面表現と、より少ない工数で開発ができる効果があります。
オリエンタルダイヤモンドのビジネスパートナーは、B2B環境のルースダイヤモンドWebシステムに満足しています。南氏は、B2C環境にあるTrecentiのカスタム・メードのジュエリー注文システムでそれを再利用し、店舗カウンターでの顧客と販売スタッフのリングデザインの会話の中で、ダイヤモンドの在庫をチェックできるようにすることを提案しました。
最初の案は、カウンタにPCを設置し、顧客に検索結果を見せる方法でした。しかし、更に詳しく仕様を議論する中で、Trecentiの社長 佃氏は、PCではなくiPadを店舗で使うことを決心しました。顧客がジュエリーショップでiPadを使うことはまだ少なくても、若い女性顧客と婚約者がリングデザインを選ぶ時に、大半の人達がiPadで楽しい時間を過ごせるだろうと佃氏は考えました。
オリエンタルダイヤモンドは、Trecenti向けにIBM i9406-560サーバーの論理パーティション(LPAR)をセットアップしました。事前購入されたルースダイヤモンドのTrecentiが作成した新しい在庫マスタを除いて、既存のLANSAベースのルースダイヤモンドWebシステムは変更せずにそのまま利用することができました。これにより非常に短期の導入を可能にしました。Trecentiは、2010年11月に新システムを決めて、2011年1月には全国13店舗全てにiPadによるソリューションを展開するこが出来ました。
新しい在庫マスタを除いて、既存のLANSAのWebシステムは変更せずにiPadのSafariでそのまま利用できた

効果
システムは、カラット、色、品質、価格、ライン、地金などの項目で、iPadのブラウザSafariを使ってルースダイアを検索することができます。システムが提供するセルフサービスとリアルタイム検索機能のおかげで、顧客との商談はより短時間で済むようになりました。iPadソリューションは、婚約者として訪問する男性の顧客にも好印象を持たれています。男性と女性の両顧客のために、リングデザインの選定をより楽しい経験にしてもらいたいという社長の希望は現実のものになりました。
ビジネスが既製リングからカスタムリングに急速に移ることで、iPadを使うビジネスチャンスは急拡大しました。システムが導入されてから、Trecentiの成約率は増大し事業効率も改善しました。顧客は、販売員が同席していなくてもリングとダイヤモンドを選ぶことができます。また、Trecentiの製品部門は、在庫関連の質問に答えるためにもう週末のオフィスに来る必要がありません。顧客満足度とスタッフのモチベーションの両方が向上しました。システムは予想を越える成果を出しています。
顧客調査機能と売上分析機能のシステムへの追加が計画されています。
顧客との商談の期間は短縮され、成約率が向上
会社とシステムの情報

- Trecentiは1988年に設立され、本社は東京中央区。社員は60名+。資本金は2億円。
- TrecentiのITインフラは、基本的にWindowsベース。Trecentiの店舗でiPadのSafariがアクセスするルースダイヤの在庫検索システムは、オリエンタルダイヤモンドのIBM i 9406-560で稼働。
- 詳細はwww.trecenti.comをご覧ください。