統合プロジェクトが失敗する主な8つの原因

ガートナーのプレスリリースでは、約9割の企業でアプリケーション統合戦略になんらかの欠陥があると指摘されています。またこのプレスリリースによると、このような統合戦略や関連スキルにおける欠陥は、結果的に「統合の障害やより大きなコストと複雑性」に繋がるとされています。

挙げられた問題は、仕様変更、計画の不備、部門間における要件の衝突、変化に対する抵抗、データ品質の低下、ビジネス・フォーカスではなくテクノロジー・フォーカスなど、その多くが「一般的なITプロジェクト・リスク」のカテゴリーに該当するものでした。

ただし、アプリケーションの統合プロジェクトに特有の問題も数多く見られました。以下は、その中でも最も多かった8つの原因です。

8つの原因

増大する複雑性を未認識

複数のベンダーからアプリケーションを導入すると、ベンダー1社の場合に比べると、当然ながら統合はより複雑となります。"最善の"アプリケーションを選択することで期待されるビジネスのメリットと、それに付随する追加の統合作業を比較する必要があります。

ハイブリッド・システムの採用を決定した場合、統合作業を適切に計画し、予算も確保する必要があります。これは当然のことだと思われるでしょうが、購入時の決定に関わったユーザーが、この点を過小評価しているケースがよく見受けられます。

統合担当はエンタープライズ・アプリケーション・ソフトウェア(EAS)ベンダーだという誤った前提

多くの企業が、EASベンダー(ERPやCRMなどを購入したエンタープライズ・アプリケーションのベンダー)がアプリケーション統合を担当するものだと勘違いしています。

多くのEASベンダーは、自社のソリューションにデータを出し入れするためのAPIを提供しますが、その他の統合ポイントについてはお客様が責任を負うことになります。

また、EASベンダーはすべての統合ポイントがRESTful API/Webサービスであることを期待している場合がほとんどです。特に古いアプリケーションとの統合の場合、データや機能をRESTful APIとして利用できるようにするためには膨大な作業になる可能性があります。

非常にベーシックなベンダー提供のAPI

EASベンダーが提供するAPIはデータのアクセスには適しているかもしれませんが、ビジネス・プロセス統合(BPI)のワークフローのシナリオには適していません。

統合の要件が単純なデータ・アクセス以上のものである場合、特に1つのシステムから別のシステムにトリガーする必要があるアクションが条件付きであったり、複雑な場合、これに適したBPIソリューションが必要となります。

クロス・プラットフォームの統合ツールや専門知識の不足

本来、統合には複数のプラットフォームに対応したツールや専門知識が必要です。ソリューションを作成し、テスト、実装するだけではなく、継続的なサポート、問題解決、将来的なカスタマイズも必要となるでしょう。

クラウド・プラットフォームを含む複数のプラットフォームに展開できる統合ツールを選択するようにしてください。また、様々な技術的背景を持つスタッフが、そのツールの利用に慣れている必要もあります。

リアルタイム、ほぼリアルタイム、バッチの判断

システム間のトランザクションを、リアルタイム、ほぼリアルタイム、バッチのいずれで処理すべきかの検討がなされないケースが多く見られます。

まずは、この3つのシナリオすべてに対応できる統合ソリューションを選択し、ピーク時のデータ量で3つのどのシナリオにおいても優れたパフォーマンスを発揮することを確認する必要があります。

次に、統合のニーズを、リアルタイム、ほぼリアルタイム、バッチに分類します。リアルタイムが求められない場合は、統合プロセスの頻度を指定します。(例:1分ごと、30分ごと、毎日の実行など)

不完全なプロセスの自動化

“ほぼ" 自動化されていたとしても、どこかに少量のマニュアル作業が残っているプロセスでは、エラーや障害のリスクが高まります。

このマニュアル作業とは、例えば、ファイルを別の場所に手動で移動させたり、列やフィールドを異なるコーディングや標準に変換したりするなどがあります。

繰り返しになりますが、データ移動や変換の処理だけではなく、関連するすべてのシステム間のプロセスをうまく操作できるのが、優れたBPIソリューションです。

寄せ集めの統合ソリューション

ベンダーが混在し、ハイブリッド・クラウドの環境における統合では、直面する課題が、ビジネスパートナーとの統合と多くの点で似ています。EDI、XML、CSV、Webサービス、Pop3、FTPなど、さまざまな統合シナリオに対応できる、ビジネス・プロセス統合ソリューションを選択すれば、コストと必要なスキルをうまく制御できます。

適切なエラー処理プロセスの不在

どこかの時点で何らかのエラーが発生することは避けられません。データがトランザクション/メッセージ用に定義されたスキーマと一致しなかったり、接続エラーが発生したり、暗号化/復号化キーが失敗したりすることも考えられます。

オペレータへの警告送信、エラー修正手順のトリガー、再起動ポイントの設定、エラーレポートへのイベントのログなどのエラー処理は必須です。適切なBPIソリューションとは、運用ダッシュボードを含み、これらの管理タスクの処理が含まれている必要があります。

結論

アプリケーション、データ、ビジネスプロセスの統合ソリューションは、従来のヘビー級のESB(エンタープライズ・ビジネス・バス)ソリューションよりも使いやすく、価格も手頃になっています。

しかしながら、企業はポストモダンのアプリケーションが混在する環境で発生する追加的な課題に対し、適切な計画を練り、スキルを身につける必要があります。