AS400モダナイゼーション・ガイド
AS400は、Webやモバイルのビジネス・アプリケーションにとって最もセキュアで信頼性・拡張性の高いプラットフォームです。このアプリケーション・システムは1988年にIBMにより開発され、大変な人気を集めました。1997年までには約50万台ものAS400モデルが世に送り出されたのです。その高い信頼性と拡張性から、今でも多くの企業でAS400が使用されています。こういった企業では、昨今のビジネス要件を満たすための戦略として、IBM iアプリケーションのモダナイゼーションを行っています。では、AS400の概要について、そしてAS400のモダナイゼーションをマスター方法について、このブログでは、お客様が知っておくべきこと、そしてその適用方法について説明していきます。
AS400のモダナイゼーションが重要な理由
AS400は柔軟性が高く、JAVA、COBOL、RPGなど、複数のプログラミング言語がサポートされています。多くの専門家は、クラウド・コンピューティングの出現により、IBMのPower Systemsは市場では長続きしないだろうと予想していました。ところが、現実は多くの組織や業界は依然として好んでAS400を使用しています。これは、堅牢で信頼性の高いシステム・アーキテクチャのおかげだと言えるでしょう。
データ・ウェアハウス
数ギガバイトのRAMや相当量のハードディスク容量が提供されるため、IBM iSeriesのAS400は膨大な量のデータ保存には最適な選択肢です。データ・マイニングが必要な大企業では、中央リポジトリとして使用されています。
WebやEコマース用のサーバー
IBM AS400では、電子商取引のニーズをサポートするWebサーバーやアプリケーションが提供されます。そのため、注文管理、注文追跡、倉庫管理など、さまざまなタスクに活用することが可能です。また、ファイアウォール機能も提供されるため、中規模の企業ではインターネット・サービスに効率的に対応できます。
Javaアプリケーション開発
AS400は開発システムとして使用することも可能です。これは、Java仮想マシンと相対的な整合性があるからです。IBMは、Javaで商用アプリケーションを開発するためのツールも設計しています。
企業グループウェア・サービス
IBM AS400はDominoやNotesをサポートするため、ビジネスにおける優れた電子メールやプロジェクト・ファイル共有のシステムとして活用できます。チーム・メンバー間の連携が簡単・迅速に行えるようになります。
AS400システムの特徴
1. オブジェクトベースのカーネル
IBMは、オブジェクトベースのカーネルを使用してAS400システムを作りあげました。その結果、シングル・レベル・ストレージと呼ばれるユニークな機能が提供されています。これは、他のオペレーティング・システムにはない機能で、この機能を活用して、ビジネス・データの安定性やセキュリティを高めることができます。
2. 幅広い統合コンポーネント
IBM AS400には、以下のような複数のオペレーティング・システム・タスクが装備されています。
- Web アプリケーション・サーバー
- Web サービス・サーバー (完全に統合されたファイル・システム)
- DB2 for i RDBMS(リレーショナル・データベース管理システム)
さらに、IBM AS400システムでは、組み込みモジュールも提供されています。これを利用することで、データのバックアップから運用の強化まで、300を超えるタスクの実行が可能です。
3. 効率的な割り当て
VMware、Hyper-V、Xenなどのサーバー・アプリケーションには制限があります。例えば、これらの仮想化メソッドはファームウェア・ベースではなく、ソフトウェア・ベースのため、割り当てられた機能を、指定の設定に完璧に組み合わすことができません。その結果、パフォーマンスが低下します。この問題を解決するには、AS400システムが必要です。AS400システムでは、ファームウェア・ベースの仮想化ソリューションが提供されています。
AS400システムのセキュリティ
AS400アプリケーションのセキュリティには、重要な目的があります。それは以下の3点です。
機密性
- 権限を持たない人間による重要な情報の漏洩を防ぎます。
- アクセス制限により、機密情報を保護します。
整合性
- 不正な改ざんからデータを守ります。
- 情報の信頼性を確保します。
可用性
- データの破壊、偶発的な変更が行われないよう、保護します。
- 侵入者によるシステム・リソースの破壊を防止します。
IBM AS400 iシリーズの統合Webサービス
統合Webサービスとは、IBMのAS400 iシリーズのテクノロジーで、以下を指しています。
- 統合Webサービス・サーバー
- ILE用統合Webサービス・クライアント
統合Webサービス・サーバーを使用することで、オブジェクトをWebサービスとして実装できます。一方、ILE用の統合Webサービス・クライアントは、ILEプログラムが使用できるRPG、C、C++の控えを作成します。これを使うことで、ILEベースのアプリケーションがWebサービス・クライアントとして機能するようにできます。
AS400 iSeriesクラウドの利点
AS400 iSeriesのクラウドを活用することで、信頼性の高いプラットフォーム上でクラウド・ホスティングが提供するあらゆる利点を享受できます。柔軟性や拡張性などの重要な特性をさらに活かすことができるのです。結果、アジャイルなIT環境が簡単に構築できます。
以下は、AS400 iシリーズのクラウドが提供する利点です。
- トータルの運用コストを大幅に削減。
- データセンターのオーバーヘッドの削減。
- IT環境の簡素化.
AS400アプリケーションのモダナイゼーション戦略
AS400システムをモダナイズには、以下のような戦略があります。
- リホスティング
- 既存アプリケーションの更新
- リプラットフォーム/リエンジニアリング
- リアーキテクチャリング/リファクタリング
リホスティング
リホスティング手法を使って、AS400のレガシーシステムを新しいクラウドのプラットフォームに移行できます。これにより、コストを削減でき、ビジネスのユースケースの規模を拡大できます。
このアプローチでは、クラウドベースのプラットフォーム上でAS400アプリケーションを実行できるため、AS400システムを効果的にモダナイズすることが可能です。
AS400エミュレータも使用できます。また、コンパイラ、OSサービス、パッケージのセットが装備されているので、アプリケーション・プログラムをソースコードとともに移行できます。また、AWSプラットフォーム上での再コンパイル・実行が可能です。
既存アプリケーションの更新
この更新手法では、プログラミング言語、データベース、ユーザー・インターフェイスの既存のバージョンをDevOpsを適用してアップグレードします。5250画面をWebのインターフェースに変換することで、UIをモダナイズできます。この際、既存アプリケーションに変更を加える必要はありません。また、RPGやDB2モジュールをモダナイズされたモジュラーや非連結コンポーネントにアップグレードできます。
LANSAのツールaXesを使用して、AS400/IBM i 5250の画面パネルを最新のWebユーザー・インターフェイスに変換できます。ソースコードの変更が必要ないため、AS400のアプリケーションを簡単にモダナイズできます。
リプラットフォーム/リエンジニアリングーバッチ・ジョブの移行
多くの場合、バッチ・ジョブはAS400アプリケーションのポートフォリオの大部分を占めています。これには、ETLデータ処理、EDIファイル処理、特別なレポート生成などが含まれます。
リエンジニアリング-バッチ・ジョブの移行アプローチでは、物理ファイルまたはリアルタイムのデータストリームをAWSクラウドに送信します。これにより、レポートを使って顧客に追加データを提供できるようになります。結果、お客様は重要な情報を見逃さずに検知できるようになります。
リアーキテクチャリング/リファクタリング
既存のIBM i/AS400アプリケーションが将来のビジネス要件を満たすことができずに苦労していませんか。この場合、リエンジニアリングもしくはリファクタリングのアプローチを使って、アプリケーションをモダナイズすることを検討する必要があるでしょう。同様の機能を持つ、より優れたアプリケーションが開発できるようになります。さらに、機能性が向上して、顧客満足度も向上できます。
クラウド・ネイティブ技術を活用して、AS400アプリケーションをモダナイズできます。例として、マイクロサービス、ドッカー・コンテナー、デカップリング、データ分析、人工知能、機械学習サービスなどがあります。
アプリケーションのリファクタリングには、Visual LANSAとRAMPを使うと便利です。LANSAを利用することで、ビジネスルールや再利用可能なコンポーネントを一元管理できるようになります。さらに、RAMPを使用して、新しいアプリケーションのプロトタイプや設計を簡単に作成できます。
まとめ
IBM iSeriesは、ビジネスに必要な整合性と信頼性を提供するとともに、不正なアクセスや変更をされないよう、データを保護します。非常に安全性と信頼性の高いソリューションが提供されるので、顧客の信頼を獲得でき、ビジネスを成長させ、より多くの収益を生み出すことが可能です。
最新のIBM AS400ハードウェアの設定には、堅牢なエンジンと強力な機能が含まれているため、コア・ビジネスの課題を効率的に処理し、新たな需要にも対応できるようになります。結果、ビジネス目標を効果的に達成することができるのです。
LANSAでは、IBM iをモダナイズするための様々なツールが提供されています。この機会にぜひお問い合わせください。