IBMのAS/400に未来はない? モダナイゼーション戦略を考える
IBMのAS/400には未来はないと考える人もいらっしゃるようですが、本当にそうでしょうか。IBM i のモダナイズを行うのはどうでしょう? このブログでは、IBMのAS/400を利用するメリットと、IBM iのレガシー・アプリケーションをアップグレードするモダナイゼーション戦略について説明します。
AS/400
AS/400は主に中小企業で利用されているコンピューター・システムです。このAS/400は独自のオペレーティング・システム”OS/400”で稼働し、組み込みデータベースに加え、多くのコア機能が搭載されています。また、IBMでは1988年の製品発表以降も、継続的にアップデートと改良が実施されています。
このシステムの主な特徴としては、拡張性、堅牢性、信頼性、セキュリティ、低コストが挙げられます。
AS/400のオペレーティング・システム(iSeries)
先ほど触れたように、AS/400ファミリーのコンピューターは"OS/400″という独自のオペレーティング・システムが稼働しています。このブランド名は長い歴史の中で何度か変更され、2000年には"iSeries"と改称されました。そして最新のバージョンは"IBM i"と呼ばれています。
iSeriesはマルチユーザーのオペレーティング・システムです。このIBM iシステムの主な特徴は以下の通りです。
- 組み込みDB2データベース
- 単一レベル記憶 (ディスク・メモリへのアクセスとメイン・メモリへのアクセスが同じ)
- 高いセキュリティ
- IBM AS/400以前のバージョンとの下位互換性
- ハードウェア・プラットフォームと緊密に統合 (他のサーバー・システムにOSのインストールは不可)
- サポートなしでも長期間作動
IBM iとAS/400の違い
IBM iはオペレーティング・システムで、AS/400シリーズのコンピューター上で作動するように設計されたものです。一番最初のオペレーティング・システム”OS/400”の最新のアップグレード版がIBM i です。一方、AS/400のハードウェアも継続的にアップグレードが行われおり、IBM iオペレーティング・システムと連動しています。
つまり、IBM iとAS/400の違いは何かと言うならば、ソフトウェアとハードウェアの違いと同じです。ですから、両者を比較することは間違いです。
IBMのAS/400ソフトウェアに未来はない?
IBMのAS/400ソフトウェアにはもう未来がないという誤解が存在しますが、私たちはそう思いません。今現在も非常に人気があり、現代の多くの企業で重要な機能の処理に利用されています。
以下はAS/400の主な利点です。
- 高レベルのプログラムとデータ・セキュリティ
- エンタープライズ・レベルの高い信頼性と稼働時間ほぼ100%の可用性
- 高いパフォーマンス。AS/400のパワー・プロセッサは競合他社の3~5倍
- 信頼性の高い統合データベース。
- 継続的なAS/400のアップデートにより、現代のビジネスに必要な最新機能を提供。
- クラウド環境でも利用可能。
- 高い拡張性。手頃な価格のサーバーからスタートし、ビジネスニーズの成長に合わせ、より強力なサーバーに簡単にスケールアップが可能。
- 下位互換性。レガシー・テクノロジーを使って開発されたアプリケーションを、変更を加えずに新しいソフトウェア上で実行可能。
このような多くの利点があるため、IBM AS/400は今日も不可欠なシステムとなっているのです。
AS/400のモダナイゼーション戦略
AS/400 のアップグレードは複雑でプロセスも長く、複数のリスクを伴います。ですから、モダナイゼーションのプロセス開始前に、適切な戦略を選択する必要があります。残念ながら、AS/400アプリケーションのアップグレードに適した唯一の戦略というものは存在しません。お客さまのアプリケーションや目的に応じて、1つまたは複数の異なる戦略を適用することが可能です。
いつ、どの戦略を使用すべきかといった明確な基準がないため、アップグレード戦略の選択は複雑です。以下に、どのようなモダナイゼーション戦略があるかを紹介します。
スクリーン・スクレイピング
スクリーン・スクレイピングとは、アプリケーションやWebブラウザにグラフィカルなホーム画面を提供することです。同時に、古いアプリケーションの動作の原理は変わりません。スクリーン・スクレイピングは、プレゼンテーション層のみのアップグレードが提供されます。
新規ユーザーインターフェイスの追加
新しいユーザーインターフェイスの作成は、働きとしてはスクリーン・スクレイピングと同じではありますが、開発者が追加で画面認識のスクリプトを書きます。スクリプトを使用することで、画面間の移動方法を決定でき、元の画面のコンテンツを新しいビューに変えることができます。例えば、グリーン・スクリーンをブラウザに変えることができるのです。スクリプトを使って、全画面コンテンツの表示・非表示が可能になります。
スクリーン・スクレイピング戦略と同様、レガシー・アプリケーションのロジックや機能は変更されません。
ビジネス・ファンクションを呼び出し可能サービスとして公開
ビジネス・ファンクションを呼び出し可能なサービスとして公開することで、アプリケーションのビジネス・ファンクションを保持したまま、別のアプリケーションからも利用できるようになります。この方法では、まずレガシー・アプリケーションを精査し、ビジネス機能を定義します。その後、選抜されたビジネス・ファンクションを実装するWebサービスが作成されます。
このビジネス・ファンクションを実行する際は、適切なWebサービスを呼び出す必要があります。この方法を利用することで、レガシー・アプリケーションのビジネス・ファンクションを維持した状態で、他のアプリケーションでも再利用することができるようになります。
アプリケーションの移行
アプリケーションの移行とは、レガシー・アプリケーションの個々の機能ブロックを置き換える手法を指します。これにより、アプリケーション全体ではなく、ビジネス機能を個別にモダナイズすることができます。このアプローチの利点は、段階的にモダナイズできることです。
アプリケーションのリホスティング
リホスティングとは、レガシー・アプリケーションを別のコンピューター・プラットフォームに移行することです。レガシー・アプリケーションは変更なく動作しますが、ハードウェアとソフトウェアは新しくなります。この方法では、古いハードウェアとオペレーティング・システムを廃棄することができます。
アプリケーションのアウトソーシング
アプリケーションのアウトソーシングとは、レガシー・アプリケーションの保守・機能向上を外部の会社に委託することです。これにより、企業はレガシー・アプリケーションのパフォーマンスを気に掛けることなく、新規のアプリケーション開発に自社のプログラマーやリソースを使うことができます。
アプリケーションの書き換え
レガシー・アプリケーションの書き換えには、最新テクノロジーを使った新しいアプリケーションの設計が含まれます。これは、レガシー・アプリケーションの機能を活用して、同様の機能を最新のプログラミング言語で記述することです。この方法により、アプリケーションのアーキテクチャをモダナイズすることが可能になります。
アプリケーションの置換
アプリケーションの置換とは、レガシー・アプリケーションの代わりに新しいアプリケーションを使用することです。レガシー・アプリケーションのデータのみが保管されます。この方法を使用する場合、ビジネス機能が中断されるリスクがあります。また、新しいシステムはより高価で、導入にも時間がかかります。
LANSAでAS/400をモダナイズ
LANSAのツールセットを利用して、AS/400/IBM iのレガシー・アプリケーションを効率的にアップグレードできます。LANSAを使えば、ユーザーインターフェイスを簡単にモダナイズでき、既存機能を活用した新しいアプリケーションも作成できます。他にも多くのことが可能になります。
aXesツールを使用すれば、ソースコードを変更せずに、レガシーな5250画面を最新のユーザーインターフェイスに変換可能です。
RAMPツールを使用すれば、レガシー・アプリケーションの機能を使用しながら、新しいアプリケーションをイチから作成することが可能です。つまり、重要なビジネス機能を維持しつつ、最新のテクノロジーが利用できるのですす。
ローコードのプラットフォームVisual LANSAは、最小限のコーディングで迅速に新しいアプリケーションを作成できます。また、レガシー・アプリケーションのモダナイゼーションも可能です。Visual LANSAを使って、アプリケーションをあらゆるデバイスに簡単に配布・実行できます。
FAQ (よくある質問)
AS/400の用途は何ですか?
AS/400は、大規模なシステム・リソースを必要とするアプリケーションに利用されます。例えば、ERP、銀行・医療の情報システム、インターネットや電子商取引サービス、エンタープライズ・グループ・サービス、データ・ストアなどです。
AS/400ソフトウェアはどのような目的に利用されますか?
AS/400ソフトウェアは、あらゆるタイプのアプリケーションで利用可能です。ただし多くの企業では、金融や医療分野、政府機関向けアプリケーションに使用されています。
IBMは今もAS/400をサポートしていますか?
はい、IBMは現在もAS/400をサポートし、アップデートも継続的に行われています。
IBMのAS/400は過去のものですか?
いいえ。IBM AS/400は非常に人気があり、今でも多くの企業で広く利用されています。
IBM AS/400の現在の名称は何ですか?
IBM AS/400の最新バージョンは、IBM Power Systemsとして知られています。