AS/400(IBM i)のニーズが今も減少しない理由|現代ビジネスを支えるIBM iの実力

2024年3月29日

AS400システムは時代遅れで、かつてのような需要はないと考える方も多いかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。現代のビジネスにとって欠かせない重要なAS400の特徴について、さらにIBM i のモダナイズについて一緒に考えてみたいと思います。

AS/400(IBM i)

AS/400(IBM i)は、IBMがビジネスアプリケーション向けに開発したコンピューターシステムです。1988年にApplication System/400として発売された際、AS/400ハードウェアとOS/400ソフトウェア、そして幅広いコア機能が一体となって提供されました。今日に至るまで、安全性・安定性・信頼性・拡張性を兼ね備えたミッドレンジ・コンピューターシステムとして、幅広い機能を提供し続けています。

AS400の開発・アップデートは継続的に実施されており、現代のビジネス・ニーズに不可欠なあらゆる機能が提供されています。また、IBMシステムの互換性は高く、レガシーな技術で動作するプログラムも修正すること無くAS400上で実行することが可能です。

このAS400システムは “iSeries" や “System i" など、何度か改称されましたが、現在の最新バージョンは、"IBM Power Systems" と呼ばれています。

AS/400(IBM i)の簡単な歴史

AS/400の系譜は、1978年に登場したIBMのSystem/38に遡ります。続いて1983年にSystem/36が発表され、これらの先行モデルの特徴を統合する形で1988年にAS/400が誕生しました。

1988年の登場以降、AS/400は中小規模事業者向けのミッドレンジ・コンピューターとして成功を収めました。その後、eビジネスの拡大に伴うニーズに応える形で、AS/400は iSeries へとリブランディングされます。さらに6年後にはi5/OSオペレーティングシステムを搭載した System i となり、IBMのSystem pハードウェアとは別系統として位置付けられました。

その2年後の2008年、AS/400は IBM Power Systems へと進化を遂げ、2021年以降は「IBM Power」として知られるようになっています。IBM Powerは、System iとSystem pの両プラットフォームを統合した一体型サーバーです。

AS400のオペレーティング・システム (iSeries)

AS400のオペレーティング・システムは、ハードウェア (AS400) と同時にリリースされ、大変な人気を博しました。このOSには、主に次のようなメリットがあります。

  • データベースが内蔵されている。
  • IBM AS/400の以前のバージョンとの下位互換性があるため、アプリケーションを再インストールせずに、新しいバージョンのプラットフォームに切り替えることができる。
  • IBM AS400はターンキー・オペレーティング・システム(通常動作中はほとんどオペレータを必要としないシステム)のため、ITサポートをほとんど、もしくはまったく受けずに長期間稼動が可能である。
  • システム・メンテナンスを自動でスケジューリングし、システム内の問題も自動検知できる。
  • IBM AS400 の実行に必要なプログラミング・データが、ベース OS 内にすでに統合されている。(別途ソフトウェアを購入しインストールする必要がない)。
  • タスク間の切り替えを素早く行える。
  • AS400オペレーティング・システムには、さまざまなサーバー・テクノロジー (DB2ユニバーサル・データベース、Lotus Dominoソフトウェアなど) が統合されている。

これらの機能の組み合わせにより、AS/400は前身であるIBM System/38と比較しても、プログラマー、システム管理者、そしてオフィスの一般ユーザーにとって、より使いやすく汎用性の高い体験を提供しました。たとえば、SQLデータベースのビルトインサポートにより、ユーザーはより複雑なデータ操作が可能になりました。

このOSはまた、接続性も重視して設計されています。コピー機、プリンター、ラックサーバーなどを同一ネットワーク上に接続するオフィス環境において、AS/400は最適なソリューションとなりました。

IBM iとAS400の違い

AS400はハードウェア、IBM iはソフトウェアを指すため、AS400とIBM iを単純に比較できません。

AS400は、IBMが1988年にリリースした、独自のOS/400オペレーティング・システムを持つサーバーです。その後、継続的にアップデートが行われ、2008年にはPower Systemsと改称されました。

オペレーティング・システムであるOS/400の開発も積極的に進められており、何度か改称されています。現在はIBM iと呼ばれ、IBM Power Systems上で作動します。

IBMのAS/400(IBM i)は終わった存在なのか?

今日AS/400システムは終わりが近いと考える専門家も多いようですが、私たちはそう思いません。過去数十年にわたり稼動してきたこのAS400システムは、常に進化を続け、最新のテクノロジーを駆使して、現代のあらゆるビジネス・ニーズを満たしてきました。

また、AS/400では高度なセキュリティが提供されます。スケーラブルな上に信頼性も高く、大量のデータを迅速に処理できる能力も備えているため、現在も不可欠なシステムとなっています。ERP、銀行・医療の情報システムなど、リソース集約型のアプリケーションとして、多くの企業で幅広く利用されています。

AS/400(IBM i)をめぐる2つの議論

AS/400(IBM i)はその有用性が証明されているにもかかわらず、いまだに以下の 2つの主な懐疑論 にさらされているのも事実です。

①「AS/400(IBM i)は時代遅れ」という認識

IBMは1988年にAS/400を開発し、その後何度かブランド名を変更してきました。その経緯から「真にモダンなソリューションではない」と感じる人がいます。しかし、こうした印象とは裏腹に、AS/400は現在も世界の主要企業のコンピューティング基盤の重要な一部として稼働し続けています。

② AS/400(IBM i)ユーザー(技術者)の引退

AS/400(IBM i)ユーザーの中には、引退間近の世代も少なくありません。1988年に30代でAS/400を習得し始めた人々は、いまや退職を迎える時期に差し掛かっており、その専門知識も彼らとともにゴルフ場へ持ち去られていく状況です。とはいえ、AS/400の利用環境をモダナイズすることで、若い世代のユーザーにとっても扱いやすい形にアップデートすることは十分可能です。

専門家の見解

専門家の多くは、AS/400(IBM i)をめぐる議論が少々誇張されすぎていると感じています。たとえば、AS/400(IBM i)をクラウドソリューションと対立軸で語るのではなく、コストの違いに焦点を当てるほうが理にかなっているという指摘があります。多くの組織にとって、現在のAS/400(IBM i)を使い続けるほうが、ワークロードをクラウド上でホストし始めるよりも はるかにコストが低い という現実があるためです。

また、別の専門家は「AS/400(IBM i)の堅牢性と信頼性が議論そのものを実質的に無意味なものにしている」とも指摘しています。AS/400(IBM i)は組織のニーズを十分に満たし、今後も数年にわたって満たし続けることができるため、内部で利用継続の是非を議論する必要はない、というのが彼らの見解です。

AS400に依然として依存する主要産業

信頼性の高い接続性、高い稼働率、堅牢なセキュリティを必要とする業界では、現在もAS/400(IBM i)が中核を担い続けています。

金融業界

銀行業界の金融機関は、自社のITインフラを動かす基盤としてAS/400(IBM i)に依存しています。AS/400(IBM i)を導入することで、長期的なデータ処理コストや計算コストを削減できる点も大きな魅力です。たとえば、AS/400(IBM i)をインフラの一部として採用している銀行が他行を買収した場合、増加する顧客やアプリケーションを処理するためにAS/400(IBM i)インフラを容易にスケールアップできます。

金融業界にとってもう一つの利点は、AS/400(IBM i)の堅牢なセキュリティです。ビルトインのセキュリティツールにより、攻撃者による不正アクセスが極めて困難となり、データ窃盗やランサムウェア攻撃に対する追加の防御層を提供します。

製造業

製造業もまた、その確かな評判と機能性を理由にAS/400(IBM i)に依存しています。銀行業界と同様、製造業ではAS/400(IBM i)ベースのエコシステムを活用することで、長年にわたるコンピューティングコストを削減しています。AS/400(IBM i)に精通した技術者は、変化する生産スケジュール、データフロー、製品ラインに合わせてシステムを調整することができます。さらに、多くの製造業者はAS/400(IBM i)を数十年にわたって使用しており、揺るぎない信頼性の高いソリューションが業務を支えていることに価値を感じています。

保険業界

保険業界の企業は、信頼性が高く効率的なデータの保存・取得・処理に大きく依存しており、これらはすべてAS/400(IBM i)の得意分野です。たとえば、保険会社は顧客や請求関連データを大量に格納する複雑なデータベースを抱えていることが多くあります。AS/400オペレーティングシステムは複数のプログラミング言語に対応しているため、保険業界の開発者は異なる言語を使い分けながら、エンドユーザーのフロントエンドと複数のデータベース間のやり取りを管理する多様なソリューションを構築できます。

AS/400(IBM i)とモダンITシステムの比較

AS/400(IBM i)はモダンITシステムといくつかの点で異なり、特にセキュリティとワークロード処理能力において独自の優位性を発揮します。

観点AS/400(IBM i)モダンITシステム
アーキテクチャ 独自アーキテクチャを採用。ハードウェア、データベース、開発ツールなど複数の要素を1つの統合システムとして提供。多くがクラウドベース。必要なシステムをクラウド上で個別に接続する必要がある。
データベースDB2データベースを内蔵。他のサービスを利用せずにSQLを処理可能。NoSQL、MySQLなど幅広いデータベースシステムに対応するよう設計されているのが一般的。
ユーザーインターフェース(UI) テキストベースのUIだが、モダンGUIのような外観と操作感にモダナイズ可能。 Webベースで直感的なUIが標準。
セキュリティアーキテクチャ上、セキュリティを最優先に設計されており、脆弱性が極めて限定的。データ保護が容易。多くの脆弱性が存在する傾向があるが、最新のセキュリティソリューションによって十分に保護されています。
ワークロード管理データ集約型かつ複雑な計算ワークロードを安定的に管理可能。ワークロード処理能力に制限があることが多いが、クラウドベースのツールにより容易にスケール可能。

現代もAS/400システムが活躍する理由

世界中で多くの企業が今もAS400システムを活用する理由として、以下のような重要な特徴が挙げられます。

  1. 高い性能と信頼性。AS/400のプロセッサーは、競合他社に比べ3~5倍の性能を持っています。つまり、非常に高いパフォーマンスと同時に最小限のダウンタイムが必要となるアプリケーションにとっては最適なシステムなのです。
  2. 後方互換性(バックワード・コンパチビリティ)。AS/400(IBM i)の以前のバージョンと互換性があるため、アプリケーションを再インストールすることなく、新しいバージョンのプラットフォームへスムーズに移行できます。
  3. ターンキー・オペレーティング・システム。AS/400(IBM i) の実行に必要なプログラミング・データが、ベース OS 内にすでに統合されており、別途ソフトウェアを購入してインストールする必要がありません。
  4. 安定性。AS/400(IBM i)は、ITサポートをほとんど、もしくはまったく受けずに長期間にわたって稼働し続けることができます。
  5. 強化された保守機能。システム保守の自動スケジューリングや、システム内の問題の自動検知ツールが提供されています。
  6. 接続性を高める統合システム。AS/400(IBM i)には、DB2ユニバーサル・データベースやLotus Dominoソフトウェアなどのサーバー・テクノロジーが統合されています。
  7. シンプルなユーザーワークフロー。タスク間の切り替えを素早く行えます。
  8. 幅広いオプション。手頃な価格のエントリーレベルのシステムから大規模なバックアップを装備したパワフルなサーバーまで、お客様のビジネス要件に応じて、さまざまなシステムの選択が可能です。
  9. 最新のテクノロジーが採用されたAS/400。先端の機能 (人工知能、機械学習など) も提供されます。
  10. クラウド環境でも利用可能。必要なリソースのみを選択した支払いが可能で、ニーズに合わせた動的な拡張が可能です。

現代もAS/400(IBM i)システムが活躍する理由

AS400は、近い将来も需要が衰える兆しはありません。

その証拠の一つとして、転職プラットフォームLinkedInではAS400関連の求人が2,500件以上掲載されており、この極めて重要な技術に対する現在の需要の高さが裏付けられています。

時間の経過とともにこの需要が落ち込むことは考えにくく、その理由は、製造業者、金融機関、保険会社、医療機関など、多くの企業がAS/400(IBM i)をデジタルインフラの中核として利用しているからです。

もう一つの好材料として、AS/400(IBM i)アプリをクラウドへ移行できるという点が挙げられます。これにより、AS/400(IBM i)アプリを他のクラウドベース・ソフトウェアと統合したり、クラウドのセキュリティ機能を活用したりできるため、リモートワーカーや分散勤務の従業員を抱える現代の企業環境にも柔軟に適応します。

AS/400(IBM i)は今後も現代のビジネス環境で活躍し続けるための条件を十分に整えていると言えるでしょう。

LANSAが提供するAS400のモダナイズ

モダンでパワフルなプラットフォームであるLANSAでは、AS400のアップグレードに対し、複数のソリューションが提供されています。

aXesは、ソースコードを変更することなく、AS400/IBM i 5250の画面を最新のWebインターフェースに素早く変換することができるツールです。必要に応じて、さまざまな機能の追加も簡単に実施できます。

RAMP (Rapid Application Modernization Process) は、既存の機能を活用しながら、新たなアプリケーションが構築できるツールです。新機能の追加も可能です。重要な機能は保持しつつ、最新のテクノロジーを使用したアプリケーションを作成することができます。

FAQ (よくある質問)

AS400システムとは何ですか?

AS400は、IBMが中小企業向けに開発したコンピューターのラインアップです。オペレーティング・システムとデータベースが内蔵されています。

AS400システムの用途は何ですか?

AS400システムを使用する際には様々なオプションがあります。大量のデータを保存・処理する場合  (例: 倉庫管理、受注管理、販売など) に最も効果的です。

AS400 iシリーズとは何ですか?

IBMの iSeriesは、AS400システムの最新のバージョンです。2000年にリリースされ、新しいPOWER4プロセッサーを使用しています。

AS400ソフトウェアとは何ですか?

AS400ソフトウェアは、独自のオペレーティング システムを持つ、中小企業を対象に設計されたコンピューター・システムです。常時、機能拡張やアップデートが行われており、現在さまざまな企業でこの強力なプロセッサーが幅広く利用されています。

AS400の用途は何ですか?

  • データストア。例: データマイニングを適用できる中央データリポジトリ。
  • インターネットおよび電子商取引サービス。AS400システムには、Webサーバーやタスク (注文管理、注文追跡、カスタマー・サポート、サプライヤーや倉庫管理など) を実行する複数のアプリケーションが存在します。
  • Javaアプリケーションの開発。AS400を開発システムとしても利用できます。Java仮想マシンとの統合が可能で、商用のJavaアプリケーション開発のためのさまざまなツールが装備されています。
  • エンタープライズのグループ・サービス (電子メール、プロジェクトファイルの共有アプリケーション、高速コラボレーションなど) 。

AS400ソフトウェアはどのような目的に使用されますか?

AS400ソフトウェアは、あらゆるタイプのアプリケーションの作成に利用できますが、最も効果的なのは、多数のリソースを扱う場合 (例: ERPシステム、財務、医療分野、政府機関など) です。

AS400とはどのようなシステムですか?

AS400はミッドレンジ・コンピューター(オフィス・コンピューター) システムです。手頃な価格で提供されますが、ハイエンドのシステムと比較すると性能はやや劣ります。

AS400の現在の名称は?

AS400のブランド名は何度か変更されています。現在は、IBM Power Systemsと呼ばれています。

AS/400(IBM i)はクラウドに移行できますか?

はい、AS/400(IBM i)アプリケーションはクラウドへ移行可能です。AS/400(IBM i)アプリを他のクラウドベース・ソフトウェアと統合したり、クラウド・セキュリティ機能を活用したりすることもでき、リモートワーカーや分散勤務環境への対応も柔軟に行えます。

IBMはAS/400(IBM i)のサポートを継続していますか?

多くの組織にとって、現在のAS/400(IBM i)ソリューションを使い続けるほうが、ワークロードをクラウド上でホストし始めるよりもはるかにコストが低いためです。さらに、AS/400(IBM i)の堅牢性と信頼性は組織のニーズを十分に満たしており、今後も数年にわたって使い続けられる見通しが立っています。

AS/400(IBM i)エンジニアの需要はまだありますか?

はい。LinkedInなどの転職プラットフォームではAS400関連の求人が2,500件以上掲載されており、製造業・金融・保険業界を中心にエンジニア需要は依然として旺盛です。一方で、1988年の登場時から携わってきたベテラン技術者の引退も進んでおり、若い世代の人材育成と、AS/400(IBM i)環境のモダナイズが今後ますます重要になっていきます。

参考文献

B. Losey、「IBM i (iSeries – AS/400) – ITの実用主義」、2024年3月29日。
https ://www.linkedin.com/pulse/ibm-i-iseries-as400-pragmatism-bob-losey-82oyf/

W. Onion、「『AS/400は時代遅れの財務レガシーシステムだ』…まあ、そうとも言えるし、そうでないとも言える。実際何が問題だったのか、とても気になる…」、2024年1月5日。
https ://www.linkedin.com/posts/billonion_govguam-payroll-may-see-delay-due-to-as400-activity-7149060754497835008-2FZI/

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